友達同士で悩みを相談しあう時のコツ~「境界線」を考える~

※この記事は、旧ブログ『「身近な人の相談に乗る」ときに気をつけたいこと』『「身近な人に相談に乗ってもらう」ときのマナー』を元に、書き直したものです。

友達同士などの親しい間柄の中で「相談をしたりされたり」という機会は、どなたにでもあるのではないかなと思います。ですが、「相談」を通して、小さなモヤモヤやトラブルが生まれてしまうこともありますよね。

と言うわけで今回は「親しい人との間で気持ちよく相談に乗ったり乗られたりするために、気をつけると良いポイント」や、「なぜトラブルが生まれてしまうのか」ということについてのヒントをご紹介します。

自分が「相談する側」のときは

「話したいけど、相手に迷惑がかかるかも・・・」と過剰に遠慮する方もいますが、相談すること自体はけして悪いことではないです。親しい人が一人で何かを抱え込んでいるのを見るのは、周囲の人にとっても辛いことですからね。なので、「聞いてもらうときはしっかり聞いてもらう。ダラダラ相談せずメリハリをつけて、マナーはしっかり守る」という感じでするとよいでしょう。具体的には以下のような感じです。

①相手に何を求めているのかを伝える

相談を始める前に、自分が相手に何を求めているのかはっきり言いましょう。具体的には「具体的な助言が欲しい」「ただ気持ちを聞いてほしい」「一緒に悲しんだり怒ったりして共感してほしい」「問題の整理を手伝ってほしい」のどれをやってほしいのかを、先に相手に伝えましょう。

相談に乗る相手は「力になってあげたいけども、どういう風に聞いたらわからない」と思っていることがあるものです。コレを先に言うことで、相手に心の準備をしてもらえますし、聞いてもらう際の負担を減らすことができます。そして、これを心がけると、話す前に「自分が相手に何を求めているのか」をはっきりさせることが出来るので、自分の気持ちの整理の役にも立ちますよ。

なお、「ただ聞くだけ」というのが苦手なタイプの方もいます。良かれと思って、無意識にたくさん助言をしてくれる人ですね。そういう人にはそもそも「ただ聞いて欲しいだけ」というときには、相談しないようにしましょう。お互いに、行き違いやストレスになってしまいますからね。

②もらったアドバイスは基本的に実行する

相談事においては相手に助言を求めるときには「基本的に全て実行する」姿勢を持ちましょう。
ただ、やるにあたって疑問があったりするときには「出来るならやりたいんだけど、した場合の場合○○が心配だ」などというスタンスで細かく話し合ってみると良いでしょう。

③事後報告する

相談に乗った相手は「あの後どうなったかな」と気にしてくれていることが多いです。可能であれば「あの後どうなったか、アドバイスを実行してみた結果どうなったか」ということを、短いメールやラインでいいので報告をしてみましょう。きちんと報告されると相手も嬉しくなりますし、また何か会った時に力になってあげたい!と思ってくれるものです。

④同じ相談を会う度に何度もしない

「いつ会っても同じ悩みを話し続ける」という感じになってしまうと、相手は「自分は何の役にも立ってないのかな」と無力に感じてしまうかもしれません。同じ人に同じ話をするときには、その人からの助言を実行した後や、状況が変化した後にしましょう。

なお、「既に貰った助言を実行せず他のアドバイスを求める」とか、あるいは「アドバイスされた内容を忘れちゃった」と相手に伝えると、相手は「自分がしたことが全然伝わっていないのでは・・・」という気持ちになってしまいますので、控えましょう。

⑤相手のリアクションが期待通りでなくても気にしない

「ただ聞いてほしかっただけなのに、ダメだしされてしまった・・・」という場合もあるかと思います。しかし、相手には自由に反応する権利があります。なので、どういうスタンスで聞いて欲しいか希望があるときは、①で触れたとおり「先に言う」ようにし、「リアクションが期待通りでなくても仕方ない」という心の準備をしてから相談しましょう。

場合によっては「相談したことでかえって傷つく」とか「状況が悪化する」という場合もなくはないです。しかしあくまで相談することを決めたのは自分です。相談するときはなんとなくではなく、「相手の反応や結果ごと引き受けるつもり」で相談するようにするといいですね。

自分が「相談を聞く側」のときは

では今度は「聞く側」になったときの場合についてのお話です。大切なのは「相手の懐に入り過ぎない、自分に負担をかけない」というあたりでしょうか。それでは具体的なポイントを見ていきましょう。

①相手が求めていることが言葉通りとは限らない

「相談に乗って欲しい」と言っていても、案外「具体的なアドバイスを求めている」方は少ないものです。

悩みを聞いて欲しい人の多くは、アドバイスではなく「認めて欲しい」「共感して欲しい」「相談することそのものをコミュニケーションの手段にしている」ということが多かったりします。そして「アドバイスを求めている」場合も「本当は自分のしたいことが決まっていて、後押ししてほしいだけ」という場合がとても多いです。

そこに注意しながら「相手は本当はどうしてほしいんだろう?」と思って聞くと、「なんとかこの人を助けなければ!!」と力みすぎて空回りしたり、相手とのズレが生じることも少なくなりますよ。

②自分の都合を最優先する

相談によく乗られるという方は「困っている人を見ていられない!」「助けを求められたら何を置いても助ける!」ということが多いような印象です。例えば、急に呼び出されても駆けつけたり、夜中の電話に応じたり…みたいな感じでしょうか。

それは悪いことではないのですが、「自分の予定より困っている人をいつでも最優先」とすると、相手が思うように振る舞ってくれないときに、どうしても負担が重たく感じてしまったり「こんなにしてあげてるのに」という気持ちが芽生えてしまうのが人間です。

なので、相談にのるときには、「労力・時間ともに負担のない範囲で」行いましょう

③相談は「かけすて」で

相談に乗った後、アレコレ気になるかと思いますが、「あなたのアドバイスや話を聞いた後、どうするか」は完全に相手の自由です。
やれることをやったら、その後「アドバイスが役に立っているかどうか」「相手がうまくいっているかどうか」「目に見えて感謝してくれるかどうか」は一切期待しないように心がけましょう。

少なくとも相談に乗る時には、「一切こちらの思うとおりにならなくてもいい!最悪、当たり散らされてもかまわないというくらいのつもりでのるぞ!」と軽い覚悟を持ってから乗るといいですね。

④相手の課題を奪わない

相談に乗る時に、ついやってしまいがちなのが「間に入って解決してあげる」「出来ないことを代わりにやってあげる」「先回りしてサポートしてあげる」ということです。
これは一見良いことのように見えますが、長い目で見たときに「結局は本人が自分でやらなければ身につかない学びを取っている」ということがままあります。そうなると「同じような悩みの発生→相談」の繰り返しになったりするのです。

手助けするときには「本当に相手のためになるか」をよく考えること、そして、「手助けしたいときには相手の同意を得たり、相手から助けを求められるまでは待つこと」を心がけるといいですね。

つい反射的に「助けなきゃ!」と体が動いてしまう方もいるかと思いますが、多くの悩みは急いで対応することはありません(不思議なことに、相手が焦って助けを求めているときほど、急いで対応する必要がないケースが多いです)。相手のペースに巻き込まれずに、立ち止まってよく考えましょうね。

「相談」にまつわるトラブルの奥にあるもの

さて、相談に乗ったり乗られたりする中でうまくいかないことがある場合、大抵そこに「境界線」の課題が含まれています。

境界線の課題とは「人は人、自分は自分」の線引きが適切でないことを意味します。全ての経験は個人的なものですが、境界線が適切でないと「自分ですべき問題を他人にしてもらおうとする⇔他人のすべき問題を自分でしようとする」ということが起きたり、「悩みを共有すること自体を人と繋がるツールにし、本来共有できない個人の経験をムリヤリ誰かに持ってもらおうとする」ということが起きたりします。

これが直ちに悪いというわけではありません。しかし、境界線を適切なものにしなければ、いつまでたっても「自分の中での安心感」が得られません。
安心感は「自分で自分を満たす」ことでしか得られないものですが、境界線に課題がある状況だと「自分が誰かを満たす代わりに、誰かに自分を満たしてもらおう」となってしまいます。

そうなると、「自分が欲しければ欲しいほど人に尽くそうとして、いつも相手の言うなりになってしまう」「自分が役に立っていないと存在価値がない気がする」「自分のしたことにいつも見返りを求めてしまう」「どちらが主導権を持っているか争ってしまう」「人が自分の期待通りに動いてくれないとき(つまり欲しいときに満たしてくれないとき)に拒否されたと感じたりする」というような、たくさんのストレスが生まれてしまいます。

このような部分に思い当たることがある人は、まず「自分は自分、相手は相手」という考え方を意識しながら「自分の中の課題」に向き合うようにするといいと思います。境界線を適切なところに設定できると、「自分は自分で満たす」「自分の責任で、自分が決められる」ということが徐々にできるようになってきますからね。

目に映るものは基本的に全て自分の責任なのです。相手の抱える問題や、相談に乗ったり乗られたりする相手に問題を感じている場合は、それはそのまま自分自身の課題が投影されているという視点を持って、「自分磨き」に上手に使うことができたらよいですね。

友達でなく、プロに相談するという選択

また、悩みがあるときには「プロに話を聞いてもらう」という選択肢もあります。

日本ではまだ「対価を払ってプロに話を聞いてもらう」ということはあまり一般的ではないかもしれませんが、 アメリカなどでは「精神的に不安定でない人にもカウンセラーがいて、定期的に話を聞いてもらいにいく」というのが日常的で、気軽にカウンセリングなどを受ける方も多いです。

私は前職で、対面やお電話で人のご相談に乗るような仕事をしておりましたが(その時は、スピリチュアルは抜きでカウンセラーとしての技術のみを使っていました)、ご利用いただいたお客様からはこんなご感想がありました。「知らない人に、一から事情を説明することで自分の中がかなり整理される」「利害関係がない人に話すと安心できる。友達や家族には気を使っていえないこともあるから」「しっかり技術がある人に聞いてもらえるとすごく楽」・・・そういうわけで「自分の生活に関係ない第三者に、しっかりと話を聞いてもらう」ということは、それだけでも心を整えるための役にとても立つのです。

世の中には、心理カウンセラーや匿名の電話相談など色々な「話を聞いてもらえる」窓口がありますので、そういうものも上手にご活用されるといいと思います。もちろん、当サロンをそのような形でご利用くださるのも大歓迎ですよ。

また、「境界線の見つめなおし」をしたい場合も当サロンにてお手伝いをいたしております。ご興味のある方は遊びにいらしてみてくださいね。

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